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蕁麻疹(じんま疹)

エステタイム顧問医師 庄野又仁先生のコラム

世間ではあまり話題になっていませんが、2014年10月1日より水痘(すいとう:みずぼうそう)の予防接種が定期接種となり公費で接種できるようになります。対象者は生後12ヶ月から36ヶ月までのお子さんです。3ヶ月以上の間隔で2回接種が基本になります。
定期接種ワクチンは、国や自治体が、乳幼児に接種を強く推奨しているワクチンです。したがって、基本的に国や自治体からの補助があり無料で受けることができます。それに対し、任意接種ワクチンは、接種するかどうかは、受ける側に任されています。また、健康保険が適用されないため、費用が全額自己負担となります。ただし、昨今の少子高齢化の社会情勢下で、接種費用の助成を設けている自治体も増加しています。お子さんがこれから予防接種を受けられる予定の方は、居住地の自治体に問い合わせてみましょう。
2014年8月27日、海外渡航暦のない10代女性のデング熱(Dengue fever)患者の第一報が厚生労働省から入りました。半月ほど経過しますが、拡大の一途を辿っています。残念ながら、デング熱のワクチンは現時点では存在しません。ワクチン開発と今後の動向が注目されます。


先月、蕁麻疹についての御相談を承りました。実際に、病院の外来においても蕁麻疹で悩んでいらっしゃる方は多く、20%以上の人が一生に一度は経験すると言われています。

蕁麻疹について

蕁麻(じんま)とは、『いらくさ』という植物の一種で、元来、人が『いらくさ』に触れた際に出現した発疹を蕁麻疹と呼び始めたのが、名前の由来です。蕁麻疹は皮膚に突然、強烈な痒みと共に、赤みを伴う膨疹(蚊に咬まれた時の赤み伴った膨隆疹)が多発する症状を呈し、通常は数時間から1日程度で瘢痕を残さず消えていきます。形は円形・地図状・線状・点状と様々です。
膨疹が出現するメカニズムは、アレルゲンとの接触により、当該アレルゲンに特異的な(=専用の)IgE抗体が誘導され、ヒスタミンを蓄えている好塩基球や肥満細胞(白血球の一種)に、ヒスタミンを放出させるよう作用します。放出されたヒスタミンが痒みを誘発するのと同時に、皮膚の毛細血管を構成する細胞接着を緩め、水分を含む各種物質の透過性を亢進させ、血漿がどんどん血管外へ漏出することにより皮膚の膨らみが生じます。(アレルゲンは各人によって異なり、自然界のあらゆる物質がアレルゲンになる可能性があります。)
日本皮膚科学会の「蕁麻疹・血管性浮腫の治療ガイドライン」では、

①特発性(=原因不明)の蕁麻疹(2病型)

②特定の刺激により誘発される蕁麻疹(7病型)

③特殊な型の蕁麻疹及び蕁麻疹類似疾患(4病型)

と多岐に渡る蕁麻疹を大きく3グループ、計13病型に分類しています。

代表的な蕁麻疹

先の、①特発性の蕁麻疹が最もよく見られます。膨疹が自然に発生し、罹患した本人も何が原因か“心当たり”が無いケースが多く、通常の血液検査をしても直接的な誘因が明らかにできない蕁麻疹です。基本的には、膨疹が出たり消えたりを繰り返し、発症後4週間以内のものは急性蕁麻疹、4週間以上経過したものは慢性蕁麻疹と定義されます。この急性と慢性で2病型とカウントされます。
急性蕁麻疹は、風邪を引いた後に続発することが多く、ウイルス感染や細菌感染が原因ではないかと疑われています。慢性蕁麻疹は部位や時間に関係なく自然発生的に膨疹が出現し、血液検査でも特に異常を認めないことが多く見受けられます。通常、命に関わるような病気が隠れていることは稀ですが、時に内臓疾患の皮膚症状として表れることがあり注意が必要なケースもあります。
①に比べ頻度は落ちますが、②の“特定の刺激により誘発される蕁麻疹”も比較的よくみられる病態です。その名の通り、特定の刺激で膨疹が出現する蕁麻疹ですが、特異的IgE抗体が証明される、すなわちアレルゲンが特定される蕁麻疹で、食物アレルギー等が代表的なものとして挙げられます。食物もエビ・カニなどの甲殻類や、牛乳・卵黄・卵白、そばといった食物が有名ですが、最近では食品添加物も特定されることがあります。(特殊な病型として、食物依存性運動誘発アナフィラキシー(FDEIA:food-dependent exercise-induced anaphylaxis)とよばれる疾患群がありますが、興味のある方は成書をご参照下さい。)

②に分類される重要な蕁麻疹の一つに“コリン性蕁麻疹”があります。コリン性蕁麻疹では、発汗(運動)、ストレス(精神的な緊張時)などの発汗刺激に伴い、皮膚に分布しているコリン作動性神経からアセチルコリンが分泌され、これらが肥満細胞や好塩基球にヒスタミンを出させるよう作用します。症状としては、通常の膨疹ではなく微細な膨疹や小型の紅斑(1~5mm程度の大きさ)が神経の分布にそって多発します。通常の蕁麻疹とは違うため、一見、蕁麻疹ではなく、他の皮膚病と思われがちです。発汗刺激が多くなる夏場に症例が多くなる傾向があります。

注意すべき蕁麻疹

③に分類される“血管性浮腫”と呼ばれる蕁麻疹が有名です。この場合の浮腫(=むくみ)というのは、先述の膨疹の出現するメカニズムと同じく、ヒスタミンにより血管を構成する細胞の接着が緩くなり、水分が血管外に漏出し生じます。ただし、漏出する場所が異なります。
通常の蕁麻疹では血漿の漏出は真皮上層部で生じますが、血管性浮腫ではより深い皮下組織や粘膜で生じます。したがって、粘膜で覆われている消化管に障害を引き起こし、腹痛や下痢などの胃腸粘膜障害、食欲不振などが、皮膚症状よりも前に出る事があります。典型的なケースでは、口唇や眼瞼が急に腫れ上がり、3日程度で元に戻り、痒みが無いことが特徴的です。
血管性浮腫には、通常の蕁麻疹に続発して生じる例の他に、補体系のC1-inhibitorの欠損、機能不全により発症する場合があります。補体というのは、免疫系を助けるタンパク質の一種で、英語で“Complement”と称されます。頭文字をとってC1~C9と番号が付され、その中で役割や構造によりさらに細かく分類されています。この補体系が関係する血管性浮腫では、症状が顔面に生じた場合、十分な注意が必要です。というのは、顔面の浮腫の存在は、口唇や眼瞼だけではなく、喉頭粘膜の浮腫も併発している可能性が多く、喉頭粘膜の浮腫は、本人の知らないうちに浮腫が進行し、喉頭(=気道)を閉塞し、窒息、死に至ることがあるからです。この場合、血液検査で血清補体価の低下(C3正常、C4低下、CH50低下)といった所見や、C1-inhibitor活性を測定することで診断が可能です。


最後の方では、かなり怖い病気の紹介になりましたが、実際には命に関わるような蕁麻疹は極めて稀で、内服薬のみで十分症状をコントロールすることができる病気です。ただ、痒みが強く、継続した服薬、また、原因も判然としないことが多いため、罹患者本人にとっては、大変つらい病気であることは確かです。近年、様々な薬が開発されていますが、いずれも対症療法にとどまり、根治に至る特効薬が無いのが心苦しいところです。

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