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光線過敏症

エステタイム顧問医師 庄野又仁先生のコラム

2014年FIFAワールドカップ ブラジル大会も、決勝トーナメントとなり、深夜~早朝に観戦される方も多くおられると思います。蒸し暑い季節柄、体調管理にはくれぐれもご注意下さい。午前1時から観戦し、そのまま朝まで…というケースが散見されます。
7月に入り、一段と気温が上昇し、肌の露出が多い時期になりました。本稿ではこの時期、関心が高い光線過敏症についてお伝えしたいと思います。

光線過敏症とは?

通常、太陽光を浴びると普通の人でも日焼けなどの皮膚反応が生じます。しかし、照射された光エネルギーに相当する以上の病的な皮膚反応を示すことがあり、光線過敏症と言われます。これは太陽光に限ったことではありません。蛍光灯(LEDも含め)、白熱灯などの照明器具や、車のヘッドライト、テレビ、パソコン、携帯電話…と光を発するものであれば、光子(photon)による物理的なエネルギーが必ず照射されます。ただ、照射されるエネルギーの総量の観点から太陽光がもっとも重視されます。

光線過敏症の原因は多種多様であり、遺伝によるもの、ウイルス感染によるもの、薬剤によるもの、内因性の疾患(膠原病など)によるもの、原因不明のもの、そして、さらにそれらを細分類すると、枚挙に暇がありません。今回はその中で、薬剤に起因するアレルギー性の光線過敏症について解説します。

クロモフォアと発症メカニズム

光線過敏症を引き起こす薬剤には、クロモフォア(chromophore:発色団)と呼ばれる分子構造を持つものが多く認められます。クロモフォアは光子のエネルギーを吸収することにより、励起状態※1と呼ばれる活性化された状態(周囲の物質に作用しやすい活性化された状態)になります。この励起状態の薬剤が周辺の皮膚を構成する細胞に作用し、免疫系にキャッチされる光アレルゲン(光抗原)を作り出します(励起状態の薬剤そのものが光抗原となる場合もあります)。これらの物質が、一度、生体内で抗原提示機能を持つLangerhans細胞やマクロファージと呼ばれる白血球にキャッチされ、所属リンパ節でTリンパ球に抗原提示(=認識)されると「感作」が成立します。
2度目に同じ薬剤が皮膚に存在すると、光線の曝露により薬剤のクロモフォア部分が励起され、光アレルゲンとして有害な異物と認識され、今度は速やかに生体から排除する免疫反応が起こり、薬剤の分布と光線の曝露部位に一致して皮膚炎が生じます。
すなわち、薬剤起因性のアレルギー性の皮膚炎に光線の照射を必要とする病型があるということです。

※1:励起状態とは、光子などのエネルギーを原子が吸収することにより、原子核の周りを高速で回っている電子のスピン状態(電子自身の回転方向のようなもの)が変化し、通常の基底状態よりもより高エネルギーな状態に遷移した状態のことを指します。

薬剤性光線過敏症の投与経路による分類

1 光接触皮膚炎
通常の接触皮膚炎とは、いわゆる“かぶれ”のことで、原因となる物質が接触している部位に一致して皮膚炎が生じます。自然界のあらゆるものが原因となり得ますが、ある種の植物や金属、ゴム手袋、染料、おむつ等によって惹起されるケースが多くみられます。
光接触皮膚炎では、原因となる物質(光感作物質)の接触のみならば、皮膚炎を生じません。そこに光線の照射が加わると、先ほど述べたメカニズムで皮膚炎が生じます。
薬剤ではケトプロフェンと呼ばれる消炎鎮痛成分が入った貼付剤(湿布など)がよく知られています。また、薬剤以外でも化粧品や香水、植物の汁、日焼け止めでも発症することがあるので注意が必要です。

2 光線過敏型薬疹
光接触皮膚炎では、皮膚からクロモフォアとなる物質が取り込まれるのに対し、光線過敏型薬疹では内服薬が消化管から吸収され、血流にのって皮膚に運ばれ、何らかの理由で皮膚にとどまってしまい、光線の照射が原因で皮膚炎が生じます。光接触皮膚炎との違いは、薬剤が皮膚に到達する経路であり、その他のメカニズムは同じです。初回曝露では発症せず、感作が成立した以降の光線曝露により、光線曝露部位に一致して皮膚炎が生じます。原因となる薬剤は非常に多く、抗生物質や消炎鎮痛剤をはじめ、糖尿病の薬、高血圧の薬、利尿剤…など様々な種類の薬剤が報告されています。また、サプリメントなど口から摂取するもので、薬剤以外のものでも発症すること、個人差が非常に大きいことなど、原因となる物質を特定することが困難な例が多く見受けられます。


以上、薬剤を原因とした光線過敏症についてお話しましたが、全ての人に発症するわけではなく、逆に、発症するケースの方が稀なため、薬が同定された場合には薬疹情報として記録されていきます。また、光線過敏症の原因となる薬と判明しても、その薬を投与する必要性が高い場合、投薬は継続し、対症療法によってうまく皮膚症状をコントロールしながら生活している方もおられます。必要以上に心配せず、顔や首、前胸部のVネック部分、手の甲など露光部に一致して発疹や皮膚炎が出現した場合に、『光線過敏症の可能性がある』という事を知識として持っておき、肌トラブルの相談などの際に役立てていただければ幸いです。

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