日本エステティック協会加盟 エステタイム

メタボリックシンドローム②

エステタイム顧問医師 庄野又仁先生のコラム

こんにちは。エステタイム顧問医師の庄野又仁です。
年が明け、1月中旬頃からインフルエンザ患者が急増しています。医療機関や介護施設において、外来は大混雑、病棟は感染予防と感染拡大防止と、てんやわんやの状況です。しかし、そうした状況でも同じ現場で仕事をする様々な職種の仲間が、高い危機意識を共有し、早期発見・早期治療、感染予防に一生懸命取り組んでいるため、非常に心強く感じると同時に、自らも“より気を引き締めて取り組まねば!!”と鼓舞されます。

今年は、季節性インフルエンザ、B型インフルエンザの他に、2009年に世界的に大流行したA型インフルエンザ(H1N1/09pdm)が猛威をふるっています。一度インフルエンザにかかっても、抗原性が異なると再感染することがあります(実際に1シーズンに2回罹患するケースも散見されます)。ワクチン接種した方も油断せず、改めて“こまめな”①手洗い②うがい、そして③咳エチケットを実践していきましょう。


さて、前回は、メタボリックシンドロームの歴史と診断基準についてお話しました。今回は『内臓脂肪』をKey Wordに、脂肪細胞から分泌されるホルモンの話をしたいと思います。

アディポカイン

近年の研究で、脂肪組織は多くのホルモン(厳密には、細胞間情報伝達物質と呼ばれる分子)を分泌していることが明らかにされ、それらを総称してアディポカインと名付けられました。脂肪組織は生体において最大の内分泌臓器とさえ考えられています。アディポカインは本来、人体の恒常性(=体の内部環境を一定の状態に保とうとする性質)を維持するために分泌されますが、過食、運動不足、加齢などにより内臓脂肪が蓄積すると、その生産・分泌のバランスが崩れ、結果メタボリックシンドロームの発症・進展に深く関わってきます。
アディポカインは総称であり、個々のホルモンの例を挙げるとアディポネクチン・レプチン・TNFα・MCP-1・レジスチン・アンジオテンシノーゲン・HB-EGF・IL-6…など様々な種類が存在します。その中で、脂肪細胞だけからしか分泌できないアディポネクチンとレプチンが重要なものとして挙げられます。

アディポネクチン

主に血糖値を下げる生体唯一のホルモンである“インスリン(膵臓から分泌される血糖値を下げるホルモン)”の働きを助けるアディポカインです。いわば、善玉コレステロールならぬ、善玉アディポカインと考えられています。 近年の研究から、過食や不規則な生活習慣により内臓脂肪が蓄積すると体全体の酸化ストレスが増し、もともと体に備わっている抗酸化力では対応しきれず、脂肪細胞が活性酸素により障害され、様々な悪玉アディポカインを分泌してしまいます。逆に、善玉アディポカインであるアディポネクチンの分泌量が減り、血糖値が上昇傾向となります。また、アディポネクチンを人工的に補充するとインスリン感受性が改善し、血糖値が低下傾向となり、動脈硬化を改善することがわかってきました。
(※最近ではさらに研究が進み、血中の糖・脂質の濃度とは全く別のメカニズムで動脈硬化を予防することがわかってきましたが、今回は割愛します。)

レプチン

食欲を低下させるとともにエネルギー消費を亢進させ、メタボリックシンドロームのブレーキとして作用するアディポカインです。しかし、肥満、内臓脂肪蓄積の状態が長く続くと、レプチンの作用が弱まった体質、すなわちレプチン抵抗性の状態になります。原因は未だ解明されていませんが、メタボリックシンドローム自体がレプチン抵抗性を引き起こし、それがさらに内臓脂肪蓄積を助長するという悪循環を形成することが解明されつつあります。レプチンもアディポネクチンと同じく善玉のアディポカインと考えられています。

TNFα,MCP-1,レジスチンなど

いずれも、悪玉アディポカインで、肥満や内臓脂肪蓄積により、酸化ストレスが増し、その血中濃度が上昇します。これらの悪玉物質は、脂肪細胞だけから分泌されるわけではなく、同様の酸化ストレスに晒された全身の細胞からも分泌されます。その後、悪玉アディポカインは、主に白血球を介して炎症を引き起こし、最終的にはインスリンの作用が効きにくい体質(インスリン抵抗性)を引き起こします。また、炎症により血管の内壁を傷つけ、動脈硬化の引き金になります。

脂肪細胞:好循環×悪循環

脂肪細胞と聞くと、ただ脂肪分を貯蔵するだけの細胞というイメージしか持たない方もおられますが、実際は生きていくの中で重要な役割を担っている細胞です。先述の如く、脂肪細胞はさまざまな生理活性物質(アディポカイン)を分泌することで、メタボリックシンドロームの病態に深く関わってきます。ただ単に余った脂肪分をため込むだけの細胞ではありません。

過食や運動不足、不規則な生活習慣などにより内臓脂肪蓄積が長期間続くと悪玉アディポカインが優位になり、悪循環を形成しメタボリックシンドロームを引き起こします。逆に、バランスの良い食事、適度な運動、規則正しい生活習慣を継続すると、善玉アディポカインが優位になり、好循環を形成しメタボリックシンドロームになりにくい体質になります。
個人差はありますが、脂肪細胞の数は成人で何と300億個存在します。たかが脂肪細胞、されど脂肪細胞です。


次回は、生活習慣と食事内容に焦点を当て、より実践的な話をしたいと思います。

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