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めまい Part2

エステタイム顧問医師 庄野又仁先生のコラム

前稿では、めまいの分類と注意すべき危険なめまいについて紹介しました。
実際に生命に関わる危険なめまいに遭遇することは頻度的には少なく、逆に危険ではないけれども、症状が強く出るため、日常生活に支障をきたすようなめまいには頻度的に多く遭遇します。
本稿では日常生活で遭遇することの多いめまいについて取り挙げたいと思います。

めまい

めまいの分類

めまいの感じ方により回転性のめまい(vertigo)と非回転性のめまい(dizziness)に大きく分けられることは前稿で紹介しました。
回転性のめまいの症状は、自分自身の周りの景色がグルグル回り身体のバランスが保てなくなります。非回転性めまいの症状は、それ以外のものになり、なかでも多く見られるのがフワフワして地に足がついた気がしない、酔った感じがするというものです。
また、原因となる病巣の場所によって、中枢性のめまい(脳や脊髄など中枢神経に病巣)と末梢性のめまい(主に、内耳に病巣)という分類の仕方もあります。本稿で扱う“めまい”は、多くは末梢性めまいであり、回転性めまいが主症状となっているものが中心になってきます。

耳性のめまい

内耳で生じた異常により、突発的に回転性めまいが生じるものを“耳性のめまい”といい、めまい症全体の6割以上を占めるため、高頻度で遭遇します。
内耳は、鼓膜より内側にある中耳よりさらに奥に位置しており、①聴覚のセンサーである蝸牛②平衡感覚のセンサーである前庭・三半規管、により構成されています。
内耳自体は、薄い骨とその内側を併走する膜の二重構造になっており、膜の中は内リンパ液、膜と骨壁の間は外リンパ液で満たされています。
耳性のめまいは、これら構成部位のどこに異常を生じるかでタイプが分かれてきます。聴覚を司る蝸牛が存在するため、耳性のめまいでは聴覚症状(=蝸牛症状)の有無が、どのタイプのめまいか判断する重要な手掛かりになります。
また、めまい症の回復期には立ちくらみやふらつき等の非回転性めまいを伴うことがあり注意が必要です。

良性発作性頭位めまい症

内耳の骨迷路の一部を構成する卵形嚢の耳石が剥がれ落ち、別の骨迷路である三半規管に入り込んでしまったため生じる回転性めまいを指します。平衡感覚を保つ三半規管に耳石が迷入してしまうと、頭の向きを変える(=頭位を変換する)動作とともに耳石が三半規管内で動き、三半規管内で回転加速度を感知するセンサーとなる細胞(有毛細胞)が過剰に刺激され回転性のめまいが生じます。
耳石は加齢とともに卵形嚢や球形嚢から剥がれ落ちやすくなるため、ある日突然発症することも稀ではありません。症状が強く出る場合、何か重大な病気にかかったのではないか?という恐怖感がありますが、このタイプのめまいは時間とともに自然に症状が軽快していきます。これは、剥がれ落ちた耳石が内耳の骨迷路の中で自然融解していくことと、症状に慣れてしまうということが関係しています。また、自然治癒がなかなか得られない場合は、めまい症状を抑える投薬(対症療法)や、剥がれ落ちた耳石を卵形嚢の方向に戻すためのリハビリテーションが行われます。次に挙げるメニエール病のように難聴や耳鳴りなどの聴覚症状は通常出現しません。

メニエール病

メニエール病は、誰もが一度は聞いたことがある代表的なめまい症を引き起こす病気ですが、はっきりとした原因はいまだ未解明です。
1861年にフランス人医師のプロスペル・メニエール氏が初めて内耳に問題があるめまいが存在することを報告したことが由来で、病名に冠されるようになりました。
突発的な回転性めまい、難聴・耳鳴り(=蝸牛症状)等の症状を繰り返し生じる病気です。めまい症状は強く、数十分~数時間持続するため、気分不良が強くなり嘔気・嘔吐を伴うこともあります。
発作時には、軽いパニック状態になるケースもあります。メニエール病の根本的な原因は解明されていませんが、病態生理の一部は解明されています。蝸牛の中に存在する膜構造内部の内リンパ液の循環が滞り、内圧が高まる“内リンパ水腫”と呼ばれる病態がめまい症状出現に大きく関係しています。内耳に存在する、平衡感覚を司る三半規管や前庭のセンサー細胞、および聴覚を司る蝸牛のセンサー細胞が内リンパ水腫による圧変化によって誤った信号を脳へ向けて発信し、平衡感覚・聴覚の乱れを引き起こし回転性めまいや難聴・耳鳴り(=蝸牛症状)等の症状が出現します。この内リンパ水腫の原因としてストレスの関連が示唆されていますが、Evidence(=証拠)はありません。治療は主に対症療法になります。急性期(発症初期)には、抗めまい薬、循環代謝改善薬、鎮吐薬、ステロイド、抗不安薬などを使用します。慢性期には内リンパ液の循環を改善させるため、対症療法以外に浸透圧利尿薬やATP製剤、ビタミンB12製剤などが使用されます。しかし、効果が乏しく急激な聴力の低下が認められる場合には、外科的治療(内リンパ嚢開放術)により内圧を下げる方法も考慮されます。生活スタイルへの介入やストレスに対するメンタル面でのフォローも重要です。

前庭神経炎

内耳から脳へ主に2つの神経を経て情報が伝達されます。
1つは、蝸牛でとらえた聴覚情報信号を脳へ伝達する蝸牛神経、もう1つは頭の傾きや加速度などの信号を脳へ伝達する前庭神経です。
2つ目の前庭神経に炎症が生じると、脳に正しい情報が伝わらず、平衡感覚に異常をきたし、めまい症状を引き起こします。特定の時期に流行する傾向と、めまい症状の前に感冒などの症状が先行しているケースが多いことから、何らかのウイルス感染が原因と考えられています。蝸牛神経は保たれており、難聴や耳鳴りなどの蝸牛症状は伴いません。急性期の治療はメニエール病とほぼ同じです。
前庭神経炎ではリハビリテーションが中枢性代償を促進し、奏功するケースが多いため、安静ではなく積極的なリハビリテーションが行われます。

突発性難聴

ある日突然、片耳の感音障害と耳鳴りを生じる病気で、発症初期にめまいや平衡感覚異常を伴う場合があります。
めまいは1回きりの発症で、基本的に繰り返すことはありません。突発性難聴も原因が特定されておらず、内耳の循環障害やウイルス感染などが推測されていますが、確定はされていません。早期の治療が有効です。

その他

代表的な4つの耳性のめまいを紹介致しましたが、その他にも外リンパ瘻、内耳炎、聴神経腫瘍、側頭骨骨折などの外傷なども耳性のめまいを生じる疾患として挙げられますが比較的稀なケースになります。

今回、遭遇する頻度が高い“耳性のめまい”を中心に御紹介しました。特に、良性発作性頭位めまい症は、めまい症全体の4割以上、メニエール病は約1割を占め、この2疾患だけで5割(耳性めまいに限れば8割程度)を占めます。また、めまい症は中枢性/末梢性のもの以外にも、心因性めまいと呼ばれるものも存在し、不安障害・身体表現性障害・気分障害などメンタル面での病気や不調が心因性めまいの原因になることが知られています。一口に“めまい”といっても多岐にわたる原因があり、簡単につきとめることができない場合が多く存在します。その事を念頭に、まずはめまいに伴う不安、不満、症状などを和らげ、その過程でじっくりと話を聞きながら、原因を見つけていくことが大切だと考えます。