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虫刺され(虫刺症)

エステタイム顧問医師 庄野又仁先生のコラム

キャンプやBBQ,スポーツ、花火などアウトドアのシーズンになってきました。
それに伴い、虫刺されによる皮膚障害も頻繁に見かけるようになりました。“たかが虫刺され”と軽視されがちですが、時に重篤な症状や難治性皮膚障害に発展するケースもあり注意が必要です。
虫刺されは、『虫刺症(ちゅうししょう)』という病名があり、一つの疾患単位として存在します。虫刺されは刺す(または、咬む)虫の種類によってその毒性や症状が異なります。
本稿では各種虫刺症による皮膚症状や治療、対処法についてご紹介したいと思います。

虫刺され(虫刺症)

虫刺症について

昆虫類を含む虫(ダニ、ムカデ、クモなど昆虫ではないものも含む)に刺されたり咬まれたりして生じる外傷の一種であり、刺咬の際に虫の成分に対するアレルギー反応も含めて、虫刺症と総称します。
一般に“虫”という呼称は、学術的な用語ではなく、小さな生き物という意味合いで昔から使われてきたため、学術的な用語である“昆虫”には含まれない生き物も含みます。
初夏から秋にかけてヒトも虫も活発に動き回る季節になるため、虫刺症による皮膚疾患が多くなります。

代表的な虫刺症

[蚊(か)]
蚊は、産卵のための栄養を求めヒトを刺し吸血します。その際に、気づかれないよう、尚且つ血液が固まらないよう麻酔作用のある唾液を注入します。蚊の唾液は人体にとっては異物であるため、異物を排除しようとする免疫応答が引き起こされます。異物を無毒化したり排除したりしようと、血管やリンパ管から白血球や生理活性物質が集まってくるため、刺された箇所がミミズ腫れのように膨らみ、炎症のため赤みと痒みが出てきます。この段階ではじめて「蚊に刺された!」と自覚します。もともとアレルギー体質を持っている方は、この免疫反応が過剰に出る場合があり注意が必要です。

[蜂(はち)]
蜂がヒトを刺すのは、防衛本能のためであり、好んでヒトを刺しに来る虫ではありません。ただ、蜂は強力な毒針を持っており、刺された瞬間に電撃痛のような激しい痛みを引き起こします。また、蜂に刺された場合に最も注意すべき症状は、アナフィラキシーショックです。多くは過去に蜂に刺され、体内に蜂毒に対する抗体ができた後、2回目以降に蜂に刺された場合に発症します。症状は重篤で、日本においては毎年20名前後の死亡者を出しています。蜂に刺された際に、呼吸困難、めまい、冷や汗、全身の蕁麻疹等の症状が出てくるようであれば、躊躇せず救急要請をしましょう。蜂毒については、ポイズンリムーバーという吸引器が市販されているので、山登りやキャンプなどアウドドアでの活動の際に用意しておくと安心です。

[ダニ]
布団や枕などの寝具や、衣類、ぬいぐるみ、畳、カーペット、また、食品、ペットなど幅広い生息域を有しています。ヒトや動物から出る汗やフケ、老廃物、また、食べこぼしなどを栄養源にしています。ただ、一般住宅に普遍的にみられるダニは、1万種以上あると言われるダニの中で、0.5%にも満たない少数派です。また、人を咬むダニ、咬まないダニなど様々です。また、屋外ではマダニの咬傷に注意が必要です。様々なダニによる健康障害が報告される中、3つ代表的なものをご紹介します。

①コナヒョウダニ、ヤケヒョウダニ
家の“ほこり=ハウスダスト”1gには1000匹~10000匹のダニが含まれています。このダニの中で、アレルギーと関係する代表的なものがチリダニ科のヒョウダニ(コナヒョウダニ、ヤケヒョウダニ)です。“ハウスダスト=ダニ”ではありませんが、ハウスダストを構成する主成分がダニです。“ダニを吸引した”というのは、生きたダニがそのまま体内に入るわけではなく、ダニの糞や死骸などが主にアレルギーの原因になります。夏に繁殖するため、秋頃から糞や死骸が多くなり鼻炎や結膜炎、喘息などアレルギーの原因になります

②ヒゼンダニ
このダニは“疥癬”という非常に痒みの強い皮膚病を引き起こすダニです。ヒゼンダニは吸血はせず、皮膚の角質層に潜り込み寄生します。比較的小型のダニでなかなか肉眼では見ることができませんが、ダニの前脚部は黒色のため虫眼鏡などで拡大してみると2~4つほどの点が見えることで分かる場合があります。疥癬は、医療介護施設などで集団発生が問題になることがあります。詳細は改めて別稿で扱いたいと思います。

③マダニ
主に森林や草原などに生息しており、植生上で吸血源となる動物が通りかかるのを待ち伏せします。ヒト意外にも、イヌ、ネコ、イタチ、タヌキなどが通りかかると、飛び移ります。その後、皮膚の柔らかいところを探し出し、口器を差し込みセメントのような物で固定し、振り落とされないよう吸着します。吸血を開始すると、徐々に膨れ上がり、もともと2mm前後のサイズが、10mm程度まで膨れ上がり、肉眼ではっきりわかるようになります。吸着後に無理に引き離そうとすると、マダニの口器が皮内に残ってしまったり、ウイルスを有する体液が逆流したり等、リスクが高いため医療機関において局所麻酔下で咬まれた皮膚を含め切除し、マダニの口器が残らないようにします。マダニ咬傷で怖いのは、マダニが媒介するウイルスによる感染症です。これについては後述したいと思います。

[毛虫]
毛虫は蛾(ガ)や蝶(チョウ)の幼虫のことです。見た目から、毛が生えているものは毛虫、生えていないものは芋虫(イモムシ)と呼ばれますが、明確な区別はありません。本邦でよく問題となるのが、チャドクガ、ドクガ、イラガなどの蛾の幼虫です。これらの毛虫は全身に毒針毛(どくしんもう)を持ち、その数はサナギになる前の大きなものであれば500万本に達するものもあります。さらに、毒針毛は直接触れなくても、 毛虫が通った箇所に残ったり、風などちょっとした刺激で飛んできたりします。椿やサザンカなどツバキ科の植物の葉に好んで繁殖します。バルコニーの周辺にこれらの植物がある場合には注意が必要です。衣類や寝具など洗濯物をバルコニーで干していると、風に乗って毛虫の毒針毛が漂って付着します。
毒針毛が付着した衣類、寝具を使用すると毛虫皮膚炎を発症します。症状としては、接触から数時間ほどで、ピリピリとした痒みが出てきます。
その後、24時間程経過してから径3~5㎜ぐらいの赤い皮疹が出現します。痒みにまかせて、掻き壊してしまうと毒針毛が皮膚の奥深くまで刺入してしまい症状が長引いてしまいます。
応急処置としては、ガムテープを皮疹部分に貼り付けて、剥がすことで皮膚に付着した毛をなるべく除去します。その後、流水でよく洗って冷やし、ステロイドの入った塗り薬で対応します。
痒みが強い場合は、飲み薬も併用します。

[その他]
キャンプでは虻やブヨ(ブト、ブユ)の虫刺症によく遭遇します。クモは頻度的には少ないですが、セアカゴケグモなどには注意が必要です。
ムカデは周辺環境にもよりますが、屋外だけでなく屋内にも生息し、就寝中に咬まれるケースなども散見されます。

代表的な虫刺症

[蚊刺過敏症(蚊アレルギー)]
蚊に刺された後に、注入された唾液由来成分に対してアレルギー反応が強く起こり、38℃を超える高熱が出たり、刺された箇所が壊死し難治性の潰瘍を形成したりすることがあります。
また、血液検査で肝機能の数値が上昇するケースもあります。もともとアレルギー体質を持つ人に、アレルギー反応が強く出る傾向があります。

[アナフィラキシーショック]
蜂刺症のところで扱いましたが、ムカデ咬傷でも起こることがあります。命に係わるケースが多いため、蜂に刺されたことがある方は要注意です。アナフィラキシーショックは一刻を争う事態のため、医療機関では、エピペンという携帯用のアドレナリン(エピネフリン)製剤を必要となる対象者に処方しているところがあります。
山登りやキャンプなどアウトドアの活動の多い方は、あらかじめ用意しておくと安心です。

[マラリア、デング熱などの各種ウイルス性疾患]
蚊やダニなどはさまざまなウイルスを媒介します。2014年8月にデング熱が東京を中心に流行し、公園での蚊の駆除が実施されたのは記憶に新しいかと思います。マラリアは熱帯や亜熱帯で流行しており、毎年多くの死者を出していますが、国内での流行は見られません。ただ、今後、温暖化・グローバル化が進むにつれ、マラリアが再興する可能性はゼロではありません。
ダニもその体内に様々なウイルスや細菌を媒介します。日本紅斑熱、ツツガムシ病などが、ダニが媒介する感染症の中では古くから知られていますが、ここでは今年5月頃から九州で猛威をふるっているSFTSについてご紹介したいと思います。

[重症熱性血小板減少症候群(SFTS:Severe fever with thrombocytopenia syndrome)]
マダニが吸血する際に媒介するSFTSウイルスにより発症します。マダニに咬まれた後、1~2週間の潜伏期を経て発熱及び嘔吐、下痢、血便など消化器症状から出始め、その後、神経症状、リンパ節の腫れ、出血傾向の症状が出ます。血液検査上、血小板減少が認められ、そのまま病気の名前に使用されています。
現時点で治療薬は無く対症療法のみで治療するため、免疫力が低下している人の場合、死に至るケースがあります。このウイルスは中国で発見・命名され、日本で国内初の感染が確認されたのは2013年1月とごく最近のことです。これまでに九州、中国四国地方など西日本の16県から感染の報告例があり、30余名が命を落としています。