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尋常性ざ瘡(ニキビ)Part 3

エステタイム顧問医師 庄野又仁先生のコラム

4月に入り徐々に日差しが強くなってきました。この時期は、乾燥した空気と紫外線量が増える時期が重なり、お肌に対して大きな負担がかかります。
乾燥に対しては保湿を、紫外線に対しては日焼け止めなどのサンスクリーン対策をし、規則正しい生活リズムで体調を整えるようにしましょう。

尋常性ざ瘡(ニキビ)

前稿では、ガイドラインに沿ったニキビ治療の基本となる考え方・治療法を御紹介しました。本稿では、ニキビ治療に使用される治療薬の特徴を軸に紹介していきたいと思います。

ニキビ治療薬の変遷

現在、日本においてニキビの治療に使用される薬剤は抗菌外用薬が主流です。なかでも1993年に日本で開発されたアクアチム®は、クリーム以外にもローション、軟膏と剤型が追加され年々使用量が増加し、外用剤の主流(シェアとして60%以上)になっています。海外においては抗菌外用薬以外にも、レチノイドや過酸化ベンゾイルの使用の割合が高くなっています。
日本においても、2008年10月にガルデルマ社と塩野義製薬からディフェリン®ゲル0.1%が発売され、本邦初のレチノイド外用剤として徐々にその使用が広がりつつあります。また、最近のTopicsでは、2015年4月1日からマルホ株式会社からペビオゲル®2.5%が発売されることとなり、本邦では初の過酸化ベンゾイル製剤が承認・販売されることとなりました。抗生物質への耐性菌が問題視される中、その効果が期待される薬剤です。また、本年度中にはグラクソ・スミスクライン株式会社から過酸化ベンゾイルと抗生物質(クリンダマイシン)との配合剤であるデュアック®配合ゲルが発売され、今後のニキビ治療の選択肢が広がりつつあります。
その他、病院・医院で診察を受けずに薬局等で購入できるOTC薬としてイオウを主成分とした外用薬やビタミンB群を中心とした内服薬がよく使用されています。

外用抗菌薬

丘疹や膿疱などの炎症性にきびに対する治療は、原因菌(アクネ桿菌)をターゲットにした抗菌薬の投与になります。症状が軽いうちは内服ではなく外用のみで対応します。代表的な外用抗菌薬は以下のようなものがあります。

[ナジフロキサシン(アクアチム®)]
1993年、大塚製薬から発売されて以来、20年以上が経過しましたが、安全性や効果が高く評価され、現在もニキビの局所治療(外用療法)のスタンダードとなっています。ニューキノロン系抗生物質と呼ばれるカテゴリーの抗菌薬で、細菌のDNA合成のプロセスを阻害する作用により、殺菌的に作用します。もともと他のニューキノロン系抗生物質に比べ耐性が獲得されにくい点に加え、ナジフロキサシン自体、経口剤・注射剤などの“剤型”がないことから、無闇に使用される頻度が少ないため耐性菌が出現しにくい環境にある点が、長年高い評価のもと使用されている要因の一つと考えられます。

[クリンダマイシン(ダラシンT®)]
従来から扁桃腺炎や肺炎、敗血症などの感染症の治療に注射剤として使用されていたリンコマイシン系抗生物質に属する抗菌薬です。このカテゴリーの抗生物質は、細菌の細胞内に存在するの“RNA情報からタンパク質を合成する器官”であるリボソームの一部(50Sサブユニットと呼ばれる部分)に強く結合して、タンパク質の合成を阻害することで抗菌作用を発揮します。クリンダマイシンは抗菌作用が強く、紅色丘疹や膿疱など細菌感染が大きく影響している炎症性皮疹に対して優れた効果を発揮します。ダラシンTゲル1%の『T』は“for Tropical use”由来で、“局所に使用する目的”という意味があります。

内服抗菌薬

[ミノサイクリン塩酸塩(ミノマイシン®)]
テトラサイクリン系抗生物質に分類される抗菌薬です。リンコマイシン系抗生物質と作用メカニズムが似ていますが、リボソームに結合する部位が異なります。テトラサイクリンは、リボソームの30Sサブユニット部分に結合して、タンパク質の合成を阻害します。また、テトラサイクリン系抗生物質の中でもミノサイクリンについては、細菌の増殖を抑えるだけでなく、組織を溶かすリパーゼを阻害する作用や、活性酸素による組織障害を抑える作用があり、過度の炎症を抑える抗炎症作用としての働きも併せ持つため、ニキビに対して優れた抗生物質と考えられます。そのため、重症あるいは中等症以上の炎症性のニキビに対しては、長らく第一選択薬として使用されてきた実績があります。(※ただ、作用が殺菌的ではなく静菌的(=効果がゆるやか)に働くため、の適応症名としての『ざ瘡』は削除されました。)

[ロキシスロマイシン(ルリッド®)]
ロキシスロマイシンは、ルリッド®という商品名でサノフィ株式会社から発売されています。マクロライド系抗生物質に分類される抗菌薬です。作用のメカニズムはリンコマイシン系とほぼ同じです。さらに、ロキシスロマイシンが持つ固有の抗菌作用に加えて、アクネ菌から放出される細菌性リパーゼの作用や必要以上に炎症を引き起こす免疫作用を抑えるなどの調整作用、またアンドロゲン(男性ホルモン)の作用を抑えたり、毛穴の詰まりの原因となる角化細胞の増殖を抑えるなどの報告もあり、その多彩な作用によって総合的に炎症性皮疹を改善に導きます。現在、ニキビの治療においてミノサイクリンより多く使用されています。ロキシスロマイシンが、P.acnesを適応菌種に持ち、ニキビ(尋常性ざ瘡)が適応症名として認められていることも大きな要因かと思われます。

[レボフロキサシン(クラビット®)]
ニキビ治療で用いられる内服抗菌薬は、主にミノサイクリン(テトラサイクリン系)、ロキシスロマイシン(マクロライド系)が使用され、レボフロキサシンなどのニューキノロン系抗生物質は一般的に使用されてきませんでした。
レボフロキサシンは非常に強い抗菌作用があり、適応症名が“集簇性ざ瘡”と“毛嚢炎(膿疱性ざ瘡)”に限定されていました。しかし、近年、テトラサイクリン系抗生物質やマクロライド系抗生物質に対する耐性菌が増加傾向にあるため、徐々にニューキノロン系抗生物質の使用頻度が高くなっています。ニューキノロン系抗生物質は、細菌が増殖する際のDNAの複製に必要な酵素であるDNA gyraseを阻害することで、抗菌作用を発揮します。先述のテトラサイクリン系やマクロライド系、リンコマイシン系、また、感染症で頻用されるペニシリン系やセフェム系などの抗菌薬とは作用点が異なるため、これらに耐性を持つ菌に対しても有効性が期待できます。ニキビ治療に用いられる主なニューキノロン薬として、レボフロキサシン(クラビット®)が挙げられますが、既に他の病気等で処方され、名前を知っている方も多いかと思います。
レボフロキサシンは皮膚組織への移行性が良好なため、ニキビに限らず他の皮膚感染症全般にも有用な薬剤です。

ホルモン療法

男性ホルモン(アンドロゲン)はニキビ、特に面皰(非炎症性ニキビ)の発症に深くかかわるホルモンです。アンドロゲンは、毛穴に存在する表皮細胞のアンドロゲン受容体に結合して作用を発揮しますが、その部分に介入することでニキビの発症を抑えるのがホルモン療法の基本になります。

ホルモン療法の詳細は次稿に譲りたいと思います。次稿ではホルモン療法の他、漢方や海外で認可されている治療法などを中心に取り上げたいと思います。