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認知症へのアプローチ②

エステタイム顧問医師 庄野又仁先生のコラム

2014年FIFAワールドカップの全日程が決まり、開催国ブラジルにて観戦される方もおられると思います。
治安面での問題から防犯対策・安全対策が最優先。それに加えて、単純比較はできませんがブラジルの紫外線照射量は日本の2倍から3倍に達します。また、高温多湿な環境のブラジルの各都市では肌の露出が多くなりがちです。
現地に行く予定の方は、紫外線対策もきっちり準備しておきましょう。紫外線の中でも波長の長いUV-Aは透過力が高く、皮下組織まで達し長い年月を経て深いシワやタルミの原因になります。一方、UV-Bは透過力は高くありませんが、皮膚表面に対する作用が非常に強く、過度の日焼けを引き起こしたり皮膚がんの発症率を高める一因になります。
もちろんブラジルに限らず、日本でも、これからプールや海辺で過ごしたりする方は十分ご注意下さい。

認知症へのアプローチ②

前稿では、認知症の主な症状、原因疾患についてお話しました。
本稿では、認知症治療の現状、介護現場の取り組みについてお話したいと思います。

認知症に対する国の施策

前稿で少し触れましたが、2013年度から始まった『認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン)』では、早期診断・早期発見や介護との連携が図れるよう、①『かかりつけ医認知症対応力向上研修』や『認知症サポート医養成講座』の受講生の増加、②診断や急性症状への対応を手掛ける『認知症疾患医療センター』を整備・拡充すること、が盛り込まれています。
また、2014年4月の医科診療報酬改定では『診療所型』認知症疾患医療センターを新たに設ける他、認知症以外にも糖尿病や高血圧といった複数の慢性疾患を持つ患者の主治医機能を評価する加算が新たに設けられました。これはすなわち、なるべく多くの診療科の医師に認知症の患者や家族と向き合うことを求め、現実にそのような事態になっていることを踏まえての改訂だったと考えます。

認知症の薬

認知症の中でもっとも頻度の高いアルツハイマー型認知症に対して、3年前に大きな変化がありました。
2010年までは認知症治療薬として認可されていたのは、1999年に発売されたドネペジル塩酸塩(アリセプト®)のみでしたが、2011年にガランタミン臭化水素酸塩(レミニール®)、メマンチン塩酸塩(メマリー®)、リバスチグミン(イクセロン®、リバスタッチ®)の3剤が製造承認されました。3剤のうちガランタミン臭化水素酸塩、リバスチグミンの2剤はドネペジル塩酸塩と同じ作用を持つ薬であり、脳内の神経伝達物質であるアセチルコリンを分解する酵素(コリンエステラーゼ)を阻害することにより、アセチルコリンを増やし脳内の神経伝達物質が減少するのを抑える働き(このような作用を持つ薬剤をコリンエステラーゼ阻害薬と総称します)で、認知症症状を改善します。
3剤のうち、メマンチン塩酸塩(メマリー®)は、NMDA受容体拮抗薬と呼ばれる薬剤群に分類され、神経伝達物質の受け手側である受容体(レセプター)の一種であるNMDA受容体が過度に活性化して生じる認知症症状を抑え、神経細胞を保護する働きがあります。
ただ、いずれの抗認知症薬も、降圧薬や血糖降下薬と異なり、効果が明確に分かりにくい点と、内服したからといって認知症そのものが根治できるものではない点から、途中で服薬を中止してしまう例や、本人や家族に過度な期待を与えてしまったりする可能性があります。
あくまで症状に対する薬、進行を遅らせる予防を主目的とした薬剤と認識する必要があります。また、最近ではBPSD(周辺症状)に対して、漢方薬(中でも抑肝散)が症状改善のため活用されるケースが多くみられます。

画像検査

認知症の画像診断は、主に2つに分けられます。
1. 形態画像診断:CTやMRIを用いて脳の形状を調べます。
2. 機能画像診断:SPECTと呼ばれる検査で脳の血流分布を調べます。
まず形態画像診断ですが、近年ではCTではなく、主としてMRIが活用されます。MRIは、脳の局所的な萎縮や異状構造の検出に優れており、特に、アルツハイマー型認知症では、側頭葉に分布する記憶を司る『海馬』と呼ばれる部分の萎縮が目立ってきます。また、それ以外にも小さな脳梗塞などの血管性病変の描出にも優れています。

次に、機能画像診断では、先述のSPECTが活用されます。Single Photon Emission Computed Tomography(単光子放射線コンピュータ断層撮影)の略称で、微量の放射線を出すラジオアイソトープ(放射性同位元素)で標識された物質を血管から投与し、その分布状況を放射線量の検出器で解析し、コンピュータ処理で画像化する検査です。
ラジオアイソトープで標識された物質の取り込みから、血流の分布や脳の各部位の代謝状況を視覚的に把握することが可能で、例えば、代謝が活発な癌細胞がどこに分布しているのか、あるいは脳の中でどの部位の血流が低下しているか…など従来の画像検査ではわからなかった精度の高い質的診断が得られるようになりました。SPECTは、従来のCTやMRIでは検出できなかった血流量や代謝機能の情報が得られるため、医療現場においては欠かすことのできない検査になっています。

医療と介護の両輪

薬や検査については日進月歩であり、今後、より認知症で重要な役割を占めるのは論を俟ちません。
しかし、薬や検査で認知症が治るわけではなく、画像検査の結果をいくら説明されても患者本人や家族、介護者の悩みが解決するわけではありません。患者本人の生活の実態について十分に把握し、検査結果からどうしてこのような症状が発現するのか、合点のいく説明をして家族や介護者に、個々の症状に対して、どのように対処すればいいのか適切な指示を出すことが重要になってきます。ただ、医師は患者本人の暮らしを直接見ているわけではないため、家族を含めた介護者はなるべく多くの情報を医師に伝え、患者本人の生活モニタリングの重要性を認識する必要があります。生活モニタリングとはすなわち日常の介護そのものです。
日進月歩とはいえ、画像検査にも限界があること、抗認知症薬が根治薬足りえない事から、医療のみで認知症に対応することはできず、医療と介護の両輪で患者を支えていく必要があります。

居心地のいい環境づくり

これまでは、認知症患者を『特殊な病気の人』として一括りにし、認知機能訓練やリハビリテーション、薬物療法が行われていましたが、患者各人には、これまでの生活史があり、生まれつきの個性があります。在宅であれ、施設であれ、病院であれ、認知症患者は“居心地がいいと思える環境”にいるとBPSDの症状の出現頻度が低くなります。認知症だから仕方がないと諦めるのではなく、暴力をふるったり徘徊したりすれば、その行動にはそれぞれの何らかの理由が隠れていると考え、個々人のきめ細かい観察から、居心地のいい環境整備が非常に重要になってきます。勿論、環境ではなく、症状の進行から生じる器質的な行動障害や心理障害も多くあるため、一概にBPSDの下地になっている原因を見つけ出すのは極めて困難です。まずは身近にいる家族や介護者が、十分に観察することがBPSD防止の一つの要になります。
まだまだ難しい課題も残されていますが、この高齢化社会の中で『認知症=特殊な病気』ではなく、『認知症=人間の個性』ととらえ、地域全体で支えていく環境をつくっていくことが、これからますます重要になっていくと考えます。