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花粉症の新たな治療法

エステタイム顧問医師 庄野又仁先生のコラム

4月に入り、花冷えの時期もありましたが、すっかり春らしい温かな季節になりました。心地よい春風だけであれば良いのですが、花粉症の方には非常につらい時期でもあります。今年の6月から新たな花粉症(4月時点では、スギ花粉症に限られる)の治療法が保険適用になる予定で、いろいろと話題となっています。今回はこの時期、お困りの方も多い花粉症について取り上げたいと思います。

花粉症の新たな治療法

概念

花粉症は、スギやヒノキなどの植物の花粉が原因となって、くしゃみ・鼻水・鼻づまり等のアレルギー症状を起こす病気です。季節による変動があることから、季節性アレルギー性鼻炎とも呼ばれています。日本人の4人に1人が罹患し、国民病と言っても過言ではありません。また、その数も増加傾向にあります。

原因

花粉症の原因となる花粉はスギ花粉が最も多く、花粉症患者の約7割を占めます。スギ以外にもヒノキ、シラカバ、ハンノキなどの樹木花粉、またカモガヤ、ブタクサ、ヨモギなどの草花花粉も花粉症を引き起こします。スギが1番の原因になるのは、スギ林が全国の森林面積の約20%を占め、その生み出す花粉量が圧倒的に多い事が原因です。

メカニズム

花粉に限らず、外界の異物を吸入すると、私達の体はそれを有害なものか無害なものかを判断します(この判断は遺伝や体質によるところが大きく、個人差が大きく出てきます)。
無害と判断されれば、花粉症は発症しませんが、有害と判断されれば異物として認識された花粉を排除するため、生体がタンパク質(特異的IgE抗体)を生産し始めます。“特異的”というのは、“そのものだけに特化した”という意味で、例えば、ヒノキ特異的であればヒノキ花粉に対して反応するように設計された抗体ということになります。
抗体完成後、再び花粉が生体内に入ると、主に眼球や鼻腔の粘膜で巡回警備しているIgE抗体にキャッチされ、そのIgE抗体はIgE抗体の受容体(レセプター)を持つ白血球の一種である肥満細胞に結合(正確には、このIgE抗体は、はじめから肥満細胞に結合しており、2つのIgE抗体に認識(架橋形成)されることにより、細胞内シグナル伝達がスタートする)、細胞内のシグナル伝達を介して肥満細胞から一気にヒスタミンを放出させます。肥満細胞が“肥満”と呼ばれる由縁は、ヒスタミンをはじめ生体の免疫反応を引き起こす化学物質を顆粒状に多く細胞内に溜め込んでおり、通常の血液中の細胞よりもサイズが大きいためであり、メタボリックシンドロームの肥満とは関係ありません。
ヒスタミンが知覚神経を刺激することで脳や脊髄に信号を送り、くしゃみ反射、鼻汁・涙液の分泌を引き起こし、入り込んだ花粉を体外へ排除しよう必死に頑張ります。
しかし、外界の環境では花粉自体は無くなりません。花粉を吸入する都度、体が一連の反応を何度も繰り返します。症状は、花粉の飛散量に比例して悪化する傾向にあります。

治療法①

先述のように、肥満細胞から大量に放出されるヒスタミンが知覚神経を刺激したり、血管を広げたりすることで、花粉症症状が出現するため、このヒスタミンをブロックする薬(花粉がIgE抗体にキャッチされないようにする薬)が一般的に使用されます。かなり古い薬から、最近発売された薬まで多くの種類・剤型がありますが、基本的な作用は同じです。いずれも、1日以上経過すると、薬が代謝され効果が失われるため、シーズン中はある程度飲み続ける必要があります。内服薬のほかに、鼻汁・鼻閉には専用の点鼻薬、涙には専用の点眼薬があります。

治療法②

治療法①は、対症療法と呼ばれ、病気の原因そのものではなく、その症状に対して薬で治療または軽減する治療法です。それに対し、花粉症では病気の原因そのものを治療する方法が長年考えられてきました。このような方法は対症療法ではなく、根治療法と呼ばれます。

花粉症の根治療法は、減感作療法(アレルゲン免疫療法)と呼ばれる免疫療法の一種です。減感作療法とは、アレルギーの原因となっている物質を体に安全な極低濃度にした医療用注射液を皮下注射し、反応をみながら徐々に濃度を上げ、体をアレルゲン(花粉)に慣らしていく方法です。詳しいメカニズムは、リンパ球の一種であるT細胞のTh1細胞とTh2細胞のバランスの改善、抑制性T細胞の賦活化が緩徐に進行し、免疫の質の変化が生じることが想定されています。(興味のある方は、一度成書をご参照下さい。)
しかし、この減感作療法は様々な点でかなりの負担になります。というのは、週1~2回のペースで注射を行い、維持量まで達したら1カ月に1回のペースに移行し、注射を継続していきます。治療期間は個人差がありますが約2~3年はかかります。維持量まで到達できればまだ良いのですが、増量している途中、注射部位が大きく腫れたり、全身性のアレルギー症状が生じると中断を余儀なくされることがあります。注射に対する恐怖と痛み、根気よく医療機関に通わなければならないという点で、実際に効果を上げる例はそれほど多くありませんでした。

治療法③

これまで日本で認可されていた減感作療法は、②の注射による方法のみでしたが、014年6月から、注射ではなく舌下投与による減感作療法(治療法③)が保険適用になる見通しです。(ただし、現状ではスギ花粉症のみで、今後、幅広い種類の花粉に対する治療法が期待されています。)具体的な方法は、初期に極低濃度の医療用アレルゲン(シダトレン®:スギ花粉舌下液)を舌下に投与し数分間、舌下で舐めてもらいます(狭心症の患者さんが使用するニトロ製剤と同じ投与法です)。
液体のアレルゲンエキスでは唾液などとともに流れ出てしまうため、現場ではパンやガーゼなどに含ませて数分間舌下で保持します。その後、飲み込んでも、吐き出しても構いません。それを3~4週間、毎日続けます。毎日ですが数分間であり、注射も不要で医療機関に通う必要がありません。その後、花粉飛散シーズンが終わるまで週1回の舌下投与を行います。舌下法でも治療の基本原理は注射法と同じであるため、治療期間は約2~3年はかかります。その他、注意事項として、スギ花粉飛散時期には生体のスギ花粉に対する過敏性が亢進しているため、副作用のリスクから花粉飛散時期すなわち、症状がピークの時期に治療開始することは原則として不可です。
治療開始時期は医療機関と十分相談する必要があります。(また、新たな治療法として適用登録されるにあたり、少々、手続きが煩雑です。現在の予定では、本治療法の講習を修了し登録した医師の所属する保険医療機関でしか、治療を受けることができません。)

しかし、先述の通り、注射する必要がないため、注射の痛みや恐怖が無くなる利点と、実際の通院日数が少なくて済む利点があります。そのため、この舌下免疫療法は、実は10年以上前から様々な試行錯誤が繰り返されていたのですが、今年、晴れて日の目をみることになりました。保険適用になり、金銭的な負担も軽減されるため、毎年、花粉症でお悩みの方は、近くの耳鼻科や内科で相談されることをお勧めします。今後、スギ花粉以外の舌下法アレルゲンエキスの開発、舌下保持に適した剤型の開発、安全性が担保された治療手続きの迅速化が期待されます。